相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

(1) 特例の概要
相続により取得した土地、建物、株式などを、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるという特例があります。
(注) この特例は譲渡所得のみに適用がある特例ですので、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得については、適用できません。

(2) 特例を受けるための要件
1. イ 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
2. ロ その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
3. ハ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

(3) 取得費に加算する相続税額
取得費に加算する相続税額は、次の算式で計算した金額となります。ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。
その者の相続税額×その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額/(その者の相続税の課税価格)+(その者の債務控除額)
※平成27年1月1日以後開始する相続の場合

この特例を受けるためには確定申告をすることが必要です。
確定申告書には、1相続税の申告書の写し(第1表、第11表、第11の2表、第14表、第15表)、2相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書、3譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書【土地・建物用】)や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書などの添付が必要です。
2の計算明細書を利用すると、取得費に加算される相続税額を計算することができます。
(所法33、38、措法39、措令25の16、措規18の18)