法人がやるべき決算前チェックリスト

なぜ決算前の対策が重要なのか
法人税の節税は「決算日までに実行したもの」しか認められません。決算日を過ぎてから「やっておけばよかった」と後悔しても、その年度に遡ることはできないのです。

決算前チェックリスト
①経費の計上漏れを確認する
出張費・交通費の領収書をすべて経費精算したか
接待交際費の領収書に参加者・目的を記入したか
消耗品(10万円未満)の購入を前倒しできるものがないか
未払いの外注費・業務委託費を計上したか
決算賞与(役員・従業員)の支給を検討したか
家賃・リース料の前払い分を確認したか

② 役員報酬・賞与を見直す
役員報酬の金額は適正か(高すぎず・低すぎず)
役員退職金の積立(中小企業退職金共済・生命保険)を検討したか
使用人兼務役員への賞与支給に問題はないか
役員報酬は定期同額給与となっているか

③ 資産・在庫を確認する
不要な固定資産(備品・車両など)を廃棄・売却したか
不良在庫・陳腐化した棚卸資産の評価を見直したか
回収不能な売掛金の貸倒処理を検討したか
減価償却は漏れなく計上されているか

④税制の優遇措置を活用する
小規模企業共済への加入・掛金増額を検討したか
経営セーフティ共済(倒産防止共済)の加入・前納を検討したか
中小企業投資促進税制の対象設備を購入したか
ソフトウェア・ITツールの購入(即時償却対象かを確認)

決算にあたっての注意点
決算賞与を支給する場合
決算前に従業員へ賞与を支給することで、その分が損金となり利益を圧縮できます。未払い賞与として計上する場合は、決算日までに全従業員への支給通知、決算で経費計上、1か月以内の支給、の3要件が必要です。
支給日が決算日を超える場合の要件は厳しいため、税務調査でよく指摘されるポイントです。

減価償却資産の特例(中小企業のみ)の活用
中小企業(資本金1億円以下)は、30万円未満の資産を全額即時償却できます(年間合計300万円まで)。
パソコン・タブレット・ソフトウェアなどを30万円未満で購入した場合、通常は4〜5年かけて償却しますが、この特例を使えばその年度に全額経費計上できます。利益が出ている年に必要な設備投資を前倒しするだけで、大きな節税効果が得られます。

決算後のスケジュール(3月決算の場合)
【3月31日】
決算日。この日までにすべての節税対策を実行する
【4〜5月】
決算整理・帳簿の締め作業。役員報酬の改定もこの時期に検討する
【5月31日】
法人税・消費税の申告・納付期限(決算日から2ヶ月以内)
※申告延長の届出をしている場合は6月末まで
【6月以降】
次期の節税対策・資金計画の検討をスタートする

よくある疑問
Q. 決算前に急いで経費を使えば節税になりますか?
A. 事業に関係のない私的な支出は経費になりません。また「1円使って節税できるのは法人税率分(約30%)だけ」です。無駄な支出は避け、必要な投資を前倒しするのが正解です。

Q. 申告期限を延長できると聞きましたが?
A. 税務署への申請により、申告期限を1ヶ月延長(3月決算なら6月末まで)できる場合があります。ただし納税は原則として期限内(5月末)に行う必要があり、延長分には利子税がかかります。

Q. 赤字の年でも節税対策は必要ですか?
A. 法人税はゼロでも、住民税の均等割(年間約7万円)は発生します。また消費税は利益とは無関係に課税されるため、消費税対策は赤字の年でも有効です。

Q. 税理士に頼まなくても自分で決算できますか?
A. 帳簿が整っていれば自分で申告することも可能ですが、節税の機会を見逃したり、申告ミスによる追徴課税のリスクがあります。税理士報酬以上の節税効果が得られるケースがほとんどです。